理事長所信
2025年度理事長 友野 将実
【スローガン】
地域を駆けろ!
未来を拓く 金剛の意志
【基本理念】
私たちは、地域の発展と子孫の幸せな未来を願い「何のためらいもなく貢献する」という設立の想いを胸に、揺るぎない意志と確かな行動で、地域の未来を切り拓きます。
【基本方針】
1.地域に繋がりを生み出すまちづくり
2.輝く未来を見据えた青少年育成
3.新たな仲間と共に成長する人材開発
4.地域のために成長する組織づくり
【はじめに】
佐久青年会議所の先輩諸賢は、これまで58年間、地域の先頭に立って積極的に活動してこられました。異なる時代背景の中で、地域の問題を敏感にとらえ、真に必要とされる運動を展開してきた根底には、自分たちの住む地域の発展と、そこに住む人々や未来の子孫の幸せを願い「何のためらいもなく貢献する」という、創立当初から受け継がれてきた想いが存在します。
この社会は、政治、経済、最先端技術などが複雑に絡み合いながら動いています。しかし、一見複雑に感じられる決まりや仕組み、技術の根源には、社会を良くしたい、誰かの生活をより良くしたいという、人の想いが必ず存在します。そして、その想いが行動として集結することで、社会は少しずつ良い方向へと変化し、前進していくのです。
佐久青年会議所のバトンを託された私たちは、創立当初の想いを胸に刻み、青年としての英知と勇気、そして情熱をもって行動を起こしていかなければなりません。心から愛する家族や友人、仕事で共に汗を流す仲間の顔を思い浮かべ、子どもたちの笑顔や明るい豊かな佐久地域を想像しながら、他の誰かを幸せを願う強固で揺るぎない決意「金剛の意志」をもって、より良い未来を目指し共に地域を駆け抜けましょう。
〜地域に繋がりを生み出すまちづくり〜
青年会議所のまちづくり運動とは、地域の未来を想像しつつ、現在の課題を明確にし、多くの市民と共に協働しながら持続可能で豊かな社会を目指すものです。目先の事業にとらわれて地域の課題に向き合わなければ、良い変化は生まれません。そして、どんなに優れた計画でも、閉鎖的な実行では、地域全体に良い変化は広がりません。
意味のあるまちづくりを進めるには、正確な課題設定をすることが欠かせません。そのためには、地域の理想的な未来について考え、それに基づいて現在の課題を見極めることが重要です。データ分析や過去の事例研究に頼るだけではなく、自ら足を動かし地域を回り、住民の声を聞き、現場での調査を行うことで、多角的な視点から問題の本質を捉えることができます。このような取り組みが、効果的な運動を生み出す鍵となります。さらに、地域の人たちと繋がりを持ちながら運動を展開することも重要です。課題に関連するパートナーとの強固な繋がりは、専門的な知見を得るのに最適であり、問題解決に当事者が関わることで住民との信頼関係が深まり、参画への意欲を高めます。また、当事者だけでなく、一見関係がないと思われる層にアプローチすることも重要です。新しい気付きを提供し、協働することで、多様な視点や意見を取り入れ、より包括的な解決策を見出すきっかけとなり、地域全体を巻き込んだ運動へと発展させることが可能となります。このように多くの人との連携を実現するためには、同じ問題意識と未来の地域のあるべき姿を共有し、相互理解を深めることにより信頼関係を築いていくことが大切です。
また、そのような人と人の強い繋がりを地域に波及していくことも私たちの重要な役割だと考えます。社会科学や経済学で研究されている「社会的資本の理論」によれば、繋がりが強いコミュニティは価値観を共有しやすく、協力や助け合いが自然に生まれ、社会的・経済的に有益であるとされています。さらに、佐久青年会議所の活動圏域である各市町村の未来にむけた計画には、必ず人同士の繋がりを強化する政策が含まれており、繋がりには地域社会の発展に欠かすことのできない力が秘められていることがわかります。
これまで佐久青年会議所は、地域のあるべき未来を想像し、多くの運動を展開してきました。「運動」とは、英語で「Movement」、つまり「動き」や「変化を起こす力」を意味します。私たちが目指すまちづくりの運動は、外に出て地域を回り、動き続けることで実現できます。「地域を駆ける」まちづくりを、強固な繋がりを築きながら実践し、地域に繋がりを生み出していきましょう。
〜輝く未来を見据えた青少年育成〜
現代社会は、急速な技術革新や経済変動などによって複雑化しており、子どもたち自身が、将来どのような環境で、どのように生きるのかを見通すことは非常に困難です。また、先の見えない今を生きる子どもたちは、自分の力では解決できない、多くの課題に直面しており、これまで以上に大人の正しい導きと、未来を見据えた青少年育成が求められています。
仕事と教育は、しばしば別物として議論されがちですが、子どもたちが輝ける大人となるためには、社会に出たときに重要となる能力を伸ばすための、未来を見据えた青少年育成が必要です。経済産業省が発表した「未来人材ビジョン」では未来の社会で求められる能力について言及されており、これまで重要視されていた「注意深さ・ミスの少なさ」、「責任感・真面目さ」、「信頼感・誠実さ」に加えて、「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」といった新たな能力が一層求められていくと予想されています。これは、自らが問題を発見し、豊かな発想でそれを乗り越えていく能力であり、複雑化する社会の中で「改善」ではなく「革新」をもたらすことのできる人材が必要であることを示しています。こうした、将来必要となる能力を伸ばし、社会で活躍できる若者を育成していくことは、活力ある国の発展に繋がると考えます
さらに、子どもたちを導く大人の在り方も、青少年育成には非常に重要な要素です。現代の子どもたちは、デジタル依存や社会的スキルの欠如、精神健康問題など多くの課題に直面していますが、その多くは大人たちの行動にも原因があると感じます。例えば、親がスマートフォンに夢中になりながら子どもと接することは、子どもが適切なデジタル機器の使い方や健全なコミュニケーションのあり方を学ぶ機会を失うことに繋がります。また、親が子どもの明るい未来を願う気持ちは大切ですが、一方で行き過ぎた期待や干渉は、時として子どもがストレスを抱えることに繋がり、健全な育成を妨げる原因ともなり得ます。ありふれた生活の中でも、子どもは大人を見て成長していくものです。子どもたちが社会で自立できるよう、大人が自身の行動を見つめ直し、正しい向き合い方を学ぶ機会を持つことは、子どもたちの輝かしい未来に向けた成長を支える基盤となるのです。
どんなに時代が変わろうとも、子どもは未来を担う宝であり、私たちが守るべき大切な存在です。未来を担う子どもたちへの責任を大人一人ひとりが自覚し、共に成長を支える社会を築くことが、永続的に輝く地域社会の創造に繋がります。
〜新たな仲間と共に成長する人材開発〜
JCI佐久ビジョン2026には、佐久青年会議所創立60周年にあたる2026年までに、私たちが達成しなければならないビジョンが明記されています。そこには組織として目指すべき方向が示されており「人材教育の拡充」と「会員の拡大」は重要な事項として挙げられています。創立60周年以降も、佐久青年会議所が「明るく豊かな社会」の実現を目指し地域に貢献し続けるためには、新たな仲間を迎え、メンバー全員が自己を磨き、互いに成長していくことが必要です。
現在の佐久青年会議所の会員数は、ピーク時には100名以上が在籍していた時代から状況は大きく変わり、減少が続いています。このままの減少が続いた場合、近い将来佐久青年会議所は消滅するでしょう。私は、これまで佐久地域に良い変化を与え、リーダーを輩出し続けてきた佐久青年会議所が消滅することは、佐久地域にとって大きな損失だと考えます。これからも佐久青年会議所があり続け、「明るい豊かな社会」の実現を目指し地域に貢献していくためには、新たな仲間の存在が不可欠なのです。また、リーダーシップの開発と成長の機会を提供することを使命とする青年会議所は、20歳から40歳までの限られた活動期間で、1年ごとに立場や役割が変わることで、毎年異なった成長の機会を段階的に得ることができますが、会員数の減少に伴い、早期の役職抜擢を余儀なくされることも多くなり、活動への意義を感じとることができないまま機会や責任だけが重くのしかかる現状もあります。
望ましい組織の在り方とは、成長を求める人材が集い、全員が組織の目指す目標を理解し、それぞれが役割を全うしつつ、責任を共有しながら活動を進めることができる組織です。現在の私たちの活動は、決して地域に轟いているとは言えないかもしれません。しかし、その事業・運動の意図や、地域への想いに共感する青年は必ずいるはずです。私たちは、自らの活動に誇りを持ち、足を動かし地域を回ることで、共に活動する新たな仲間を見つけることができるはずです。そして、経験あるメンバーが知識を若手に伝え、若手は新しい視点を組織に提供するという、互いに成長し合うサイクルを整え、より効果的に伝えるために段階、順序、タイミングなど、さまざまな要素を考慮し理論的な育成方法を確立することで、持続可能な活動が実現するのです。
今年度、これまであったアカデミー委員会はありません。それは単に会員が減少したからではなく、より強い佐久青年会議所を創造するために必要なのです。そして、現役メンバーの平均在籍年数が3年になった今、組織全体の経験が浅いのも事実です。しかし、誰もがそれぞれの強みを持っており、そのパワーを同じ目標に向かって発揮することができれば佐久青年会議所に新たな価値が生まれるのです。全ては捉え方次第です。現実を悲観し下を向くのではなく、未来に向けて駆け出し、より強固で磨かれた強い光を放つ佐久青年会議所が、持続的に地域の発展に貢献できるようにしていきましょう。私たちなら、きっと未来を拓けるはずです。
〜地域のために成長する組織づくり〜
日本の20歳から40歳までの若年層人口は年々減少しており、それに伴い国内の青年会議所でもメンバー数が減少傾向にあります。若年層の人口減少は社会全体の問題として避けられない現実ですが、私たち青年会議所は、このような時代に適応し、ただ負担が増えることを嘆くのではなく、限られたメンバー数でも効果的な活動ができる環境を模索し、成果を最大化するための組織運営に挑戦していかなければなりません。
佐久青年会議所のメンバーは、家族や会社の仲間といった大切なものを守りながら、地域の発展に貢献するために、日々の活動に時間と情熱を注いでいます。私たちがいつも胸に抱いている、大切な人たちが幸せに暮らせる社会を実現できるように地域を良くしていきたいと願う気持ちは、活動への意欲へと変換され、より良い地域を目指すため原動力となっています。
私たち佐久青年会議所が、地域に対して持続的かつ効果的に貢献していくためには、異なる生活環境を持つメンバーそれぞれが、限りある時間の中でも充実した活動を行い、最大限の力を発揮できるよう環境を整えていくことが重要です。そのために組織運営の改善を常に意識することは大事なことですが、単に、時間短縮や負担軽減だけを追求するのではなく、それが家族、仕事、そして地域にどのような良い変化を与えることができるかを考えながら進めていかなければなりません。改善の先にある明るい未来のイメージを全員が共有することで、充実した活動の時間を提供し、活動の質を保ちながら、事業・運動の成果を最大化する組織へと進化させることができます。
私たちは、「明るく豊かな社会」の実現を目指して活動していますが、その理想は家族や会社、周りの人々の幸せを犠牲にした先には実現できません。だからこそ、これからの佐久青年会議所の組織運営は、ただ活動を続けるための変化を進めていくのではなく、地域に価値ある進化を遂げていくことが必要なのです。地域の明るい未来を想像し、その未来に向けて組織が進化することで、メンバーの生活を守りながら活動を支え、地域をより良くするための事業・運動を最大化できるよう組織改善に努めていきます。
【結びに】
人は、完全に個人として生きることはできません。日々の仕事で誰かの役に立ち、家族の幸せを心から願う生活こそが、自分の人生に良い変化を与え、より豊かにするのです。私は青年会議所の活動も同様であるべきだと思います。自分たちの住む地域の発展と、そこに住む人々や未来の子孫の幸せを願い「何のためらいもなく貢献する」活動こそ、地域に良い変化を与え、豊かにすることに繫がるのです。
そしてまた、何かの偶然によって佐久青年会議所に集い、共に活動する私たちは、互いの人生に良い変化を与えあう存在でなければなりません。仲間の役に立ちたい、困っている仲間を助けたいと強く相手のことを思う気持ちを持つことが大切であり、一人ひとりの地域に良い変化を与えたいという責任感が、組織全体の結束を強くし、地域の未来を明るく照らす力となるのです。
私たちは、自分自身がどう行動するかを決めることができます。それと同時に、私たちの人生は他の誰かのためにあるのです。誰かから求められているという責任を機会と捉え自己を磨き、一人ひとりの力を繋ぎ合い、他の誰かの幸せを願う強固で揺るぎない決意「金剛の意志」をもって、未来を切り拓くために、地域を駆ける一年にしていきましょう。